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インタビュー回答:起きた場所が異なるだけで同じ出来事を話した場合の対処法

time 2025/08/16

インタビュー回答者が一見多様な事例を語ってくれているように感じても、実際には異なる複数の場所で起きた同じ出来事を話しているだけのケースがあります。これは注意が必要なケースです。

場所が違うだけで出来事は同じ

例えば、障がいを持つお子さんの保護者に「不規則な発言や行動について教えてください」と質問した際、以下のような回答が返ってくることがあります。

・学校で、突然、大きな声を出した。
・家の中で、突然、大きな声を出した。
・人が大勢いる公園で、突然、大きな声を出した。

             ※実際のインタビューではより詳しく話されます。

 
一見すると3つの異なる事例が得られたように思えますが、実際には「突然大きな声を出す」という1つの出来事について、場所が3パターン紹介されただけです。

もしインタビューの目的が「どのような場所で問題行動が起こりやすいか」を知ることなら、上記の回答は有効です。しかし「どのような種類の不規則発言・行動があるか」を知りたい場合、この回答では情報が不足しています。

インタビュー中の判断力が鍵

インタビューは一瞬一瞬で質問を重ねていくため、このような回答でも「うまく聞き出せた」と錯覚してしまいがちです。

重要なのは冷静な判断力です。回答を聞きながら「質問の意図から少しずれているかもしれない」と感じたら、相手に配慮しつつ軌道修正を図りましょう。

実践的な対処法

「ありがとうございます。『大きな声を出す』ことについてよく分かりました。他にも、大きな声以外で気になる行動はありますか?」

このように、相手の回答を一度受け止めてから、自然に質問の角度を変えることで、より多様で有用な情報を引き出すことができます。

代表者(このサイトの著者)

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代表者の西山です。質的研究素材としてのコード化・カテゴリー化についての気づきを発信しています。コード化・カテゴリー化業務を承っていますので、ご要望の方はご連絡ください。