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帰納法における「データの解釈」|理論はここで顔色を変える

time 2026/01/24

帰納法は「データ→理論」で進むとされる。個別の事例から共通するパターンを見出し、一般的な理論を導き出す。教科書的にはそう説明される。

しかし、実際には大切な工程がある。「データの解釈」だ。

データと理論の間にあるもの

帰納法の流れを正確に書くと、こうなる。

データ → データの解釈 → 理論

同じデータを見ても、研究者によって解釈は異なる。そして、解釈が異なれば、導かれる理論も変わる。つまり、理論はデータから自動的に生まれるのではなく、「データの解釈」という工程を経て形作られる。

解釈によって理論は顔色を変える

たとえば、5人の看護師が「夜勤明けの会議がつらい」と語ったとする。

このデータをどう解釈するか。

  • 「勤務体制への不満」と解釈することもできる
  • 「会議の必要性への疑問」と解釈することもできる
  • 「身体的疲労と業務負担の重複」と解釈することもできる

どの解釈を選ぶかによって、導かれる理論はまったく違うものになる。データは同じでも、理論は顔色を変えるのだ。

解釈に良し悪しはない

ここで気をつけたいのは、解釈の違いを単純に「バイアス」として片づけないことだ。

確かに、研究者の先入観が解釈に影響することはある。しかし、その「データの解釈の仕方」こそが、論文のオリジナリティを高める要素でもある。同じデータから異なる視点で理論を導き出すことは、研究の独自性そのものだ。

だから、解釈に良し悪しはない。

大切なのは「自覚的な解釈」

解釈に良し悪しがないとすれば、何が重要か。

それは、自覚的に解釈することだ。

自分がどのような視点でデータを見ているのか。どのような前提を置いているのか。それを意識しながら解釈を進めること。

無自覚な解釈は危うい。なぜその解釈に至ったのか、自分でも説明できない状態になる。「なんとなくこう読めた」では、論文として説得力を持たない。

自覚的な解釈は、説明可能な解釈だ。「自分はこういう視点でデータを読んでいる」「この前提に立てば、このように解釈できる」と言語化できる。だからこそ、読者に伝わる理論になる。

まとめると

帰納法は「データ→理論」とシンプルに説明されることが多い。しかし、実際には「データ→データの解釈→理論」という過程を経る。

データの解釈によって理論は顔色を変える。これはバイアスの問題でもあるが、同時にオリジナリティの源泉でもある。だから解釈に良し悪しはない。

大切なのは、自覚的に解釈すること。自分がどのような視点でデータを見ているかを意識し、説明できる状態を保つこと。それが、説得力のある理論を生む。

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この記事を書いた人

タイナーズ 代表 西山勝之

タイナーズの代表者。2006年以来、議事録作成は元より、整文、要約、質的研究素材づくりなど、広く言語に関わる業務の陣頭指揮を執っている。言語学を応用した研究領域の大学院既卒者(修士)。表現のニュアンスを大切にしている。