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「インタビューガイド自分版」のすすめ

time 2025/09/10

以下をアップしました。

インタビュー時の聞き手の聞き方が結果を左右する
https://code-category.tapeokoshi.net/interviewer-asks/

質的インタビューにおける聞き手の問題点として、誘導的な質問やクローズドクエスチョンがデータの質を損なうことを指摘しています。

でも、これって改善できるよね

上記記事では、

「自らの問い方を省察的に検討する作業(リフレクション)が重要となる。」

とちょっと難しい言い回しをしましたが、これは簡単に言えば、聞き手の意識次第で確実に改善できるということですね。

たとえば、録音したインタビューを聞き返して自分の問いかけを振り返る「自己省察」などが有効ではないかと思います。(自分のインタビュー音声を聞くのは、ちょっと恥ずかしいですが)

実際の改善策としては:

事前準備での意識改革:「相手の世界を理解する」姿勢を明確にし、自分の解釈や価値観を一旦脇に置く

質問設計の見直し:Yes/No質問を避け、「どのように」「何を」「どんなふうに」といったオープンな問いかけを用意

実施中の自己モニタリング:自分が話しすぎていないか、誘導していないかを意識的にチェック

事後の振り返り:録音を聞き返して、自分の問いかけが適切だったかを客観視

「インタビューガイド自分版」を作ってみよう

通常のインタビューガイドは、回答者に対し「どのようなことを聞くか」に焦点を当てたものです。それとは別に、自分自身が「どのように聞くか」をインタビューガイドに書き足した「インタビューガイド自分版」を作っておいたらどうでしょうか。

これは実際のインタビュー中に自分の癖や傾向に流されそうになった時の「お守り」のような役割を果たします。

  • 問い方のパターン集:各テーマについて、誘導的になりがちな自分の癖を踏まえて、オープンな問いかけの表現を複数パターン用意
  • セルフチェック項目:「今、自分の解釈を押し付けていないか?」「相手が話し終わるまで待てているか?」といった自問自答リスト
  • 沈黙への対処法:沈黙を埋めたくなった時の代替行動(相手の表情を観察する、前の発言を振り返るなど)
  • 危険信号の識別:自分が主導権を握りすぎている時の兆候(自分が長く話している、Yes/No質問を連発しているなど)とその対処法

 
 

「インタビューガイド自分版」を作ることで、インタビューの質は格段に向上するはずです。これは単なる技術的なツールというより、研究者個人の成長ツールとしても価値が高いと思います。

実際に使ってみたら、どんどんブラッシュアップできそうですし、自分だけの「聞き上手になるためのマニュアル」ができあがります。質的インタビューをされる方は、ぜひ試してみてください。

この記事を書いた人

タイナーズ 代表 西山勝之

タイナーズの代表者。2006年以来、議事録作成は元より、整文、要約、質的研究素材づくりなど、広く言語に関わる業務の陣頭指揮を執っている。言語学を応用した研究領域の大学院既卒者(修士)。表現のニュアンスを大切にしている。

代表者(このサイトの著者)

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代表者の西山です。質的研究素材としてのコード化・カテゴリー化についての気づきを発信しています。コード化・カテゴリー化業務を承っていますので、ご要望の方はご連絡ください。